線維筋痛症とストレッチ

線維筋痛症に対するストレッチは有効なのでしょうか。研究では、ストレッチが身体機能と疼痛の改善に効果的で抑うつの軽減にはレジスタンス運動が効果的な方法との報告や中強度の有酸素運動にストレッチを加えることで睡眠の質が向上し疼痛が軽減したとの報告などがあります1)2)。一方で、ストレッチ運動に関するエビデンスの不確実性から、その長期的効果についてはまだ不明であるともされています3)

線維筋痛症の研究分野では、ストレッチ運動に関してもまだまだ「証拠不十分」な面が多く不確かなようですが、私はかなり長いことストレッチを続けています。ストレッチをしたら劇的な改善があるということはありませんでしたが、ストレッチを他の運動との組み合わせて一緒にやると割と体は楽になることも多かったように思います。今でも軽い運動がやっとという日にはストレッチだけをすることもあります。何もせず体がこわばったままでいるよりは、何かしら軽いストレッチをするだけでも違います。多くの場合がそれで改善するというよりは、ストレッチをすることで悪化を止めるような感じでした。痛みにせよこわばりにせよ、時に坂を転がり落ちるように悪くなることがありましたが、どんなに苦痛であってもそれを防止するという観点からもストレッチをしていました。悪化の一途を止めるという点では役に立ったと思います。

私の個人的経験ですが、線維筋痛症の症状改善における様々な療法の難しさは、これをすれば良いという単一的なものがなく、その時の症状や状態に合わせて複合的組み合わが必要だったことです。私はこれまであらゆる運動療法・非運動療法を試行錯誤で試し続けて、今でこそ症状や状態に合わせて自らオーダーメイドの組み合わせができますが、痛みやこわばり、その他様々な症状と必死に格闘していたような時期にそんなことを考える十分な心の余裕はありませんでした。ただ一つ確実に言えることは、線維筋痛症の症状に一番悪いのは動かないということです。痛みで動かなければ動かないほど悪化する、そんな悪循環を何度も経験してきました。「動く」と言っても、普通の人達が動くのとわけが違いますので、自分に合わせて「どう動くのか」を見つけ出していかなければなりません。その加減も長年に渡る症状改善の道のりの中で自分で体験的に覚えていくことで今に至っています。

今でも稀に、一歩も動けない程の激痛に襲われることがあります。何がトリガーとなったのかも分かりますし、それを数十分あるいは1時間程で痛みを引かせることができます。そんな日に大体行うのが何らかの温熱療法とストレッチの組み合わせです。痛みの部位にもよりますが、激痛部分は避けて大抵は何かしら少し体を動かします。線維筋痛症に対しストレッチが有効かどうかはまだはっきりしないようですが、自分の療法の一つの選択肢として持っていることは私にとっては無駄にはなっていません。

ここ数年は下記の動画を参考にしています。痛みが酷かった時期は、これほどのストレッチはできませんでしたので、もっと簡単で短時間のタイプを行っていました(その動画は今は削除されていてご紹介できません(T_T))、いずれにせよ、動画を参考にする場合でも、その日の症状や体の状態によって自分でアレンジして行っています。


【参考文献】
1) Assumpcao, A., Matsutani, L. A., Yuan, S. L., Santo, A. S., Sauer, J., Mango, P., & Marques, A. P. (2017). Muscle stretching exercises and resistance training in fibromyalgia: which is better? A three-arm randomized controlled trial. European journal of physical and rehabilitation medicine54(5), 663-670.

2) Gómez-Hernández, M., Gallego-Izquierdo, T., Martínez-Merinero, P., Pecos-Martín, D., Ferragut-Garcías, A., Hita-Contreras, F., … & Achalandabaso Ochoa, A. (2020). Benefits of adding stretching to a moderate-intensity aerobic exercise programme in women with fibromyalgia: a randomized controlled trial. Clinical rehabilitation34(2), 242-251.

3) Kim, S. Y., Busch, A. J., Overend, T. J., Schachter, C. L., van der Spuy, I., Boden, C., … & Bidonde, J. (2019). Flexibility exercise training for adults with fibromyalgia. status and date: New, published in, (9).

この記事が役に立つと思ったらシェアしてください。
通知タイプを選択してください
0 COMMENTS
評価が高い順
新着順 古い順
Inline Feedbacks
全てのコメントを見る
0
コメント・質問などはこちらx