線維筋痛症と自律神経-ストレッチで整える-

線維筋痛症と自律神経は関係があるのでしょうか。研究論文の中には、線維筋痛症患者の自律神経機能不全・自律神経障害との関連を報告するものも見受けられます1)2)3)。自律神経というと、自律神経失調症(下記図参照)を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、私自身はそれについて特に診断されたことはなく、正直、線維筋痛症と自律神経を関連付けて考えたことさえありませんでした。

「自律神経失調症は、文字どおり自律神経が失調した(バランスが崩れた)状態です。」

ただ、思えば、自律神経(交感神経と副交感神経)を司る箇所のある首から背中全体に激しい痛みやこわばりがあるのですから(下記図参照)、関係ないとは言い切れないと思ってもおかしくはなかったでしょう。しかし、そもそも自律神経について考えたこともありませんでしたし、痛みやこわばりなど多くの症状で手一杯でそこに考えが及ぶこともありませんでした。そんな私でしたが、あと数年もすれば更年期と呼ばれる時期に入るとなった頃、こんな体の状態の上に更年期症状が重かったらさらに大変なんじゃないかという思いがふと頭をよぎりました。更年期と言えば自律神経、単純な思考ですがそう思い、ある時期から下記の二つの動画を使って自律神経を意識したストレッチをしてみることにしました。

出典:背中を緩めて心と体をほぐす呼吸法:日立保険サービス (hitachi-hoken.co.jp)

これを始めた時は線維筋痛症と自律神経の関係については何も知りませんでしたから、これを取り入れることが線維筋痛症にも何らかの影響を及ぼすとは考えもしませんでした。ただ単純に更年期時の自分の体の負担をできるだけ減らそうと思い、毎日続けました。結果、不思議なことに、その運動を続けていくうちに線維筋痛症の症状にも変化が現れ始めました。特に最初の頃はこわばりのほうに改善が見られるようになり、この運動をやるとやらないでは随分と違う感覚があると感じたのを覚えています。そこから線維筋痛症の症状改善にも何か手ごたえのようなものを感じ始め、1年近くでしたでしょうか、毎日欠かさずやり続けました。

ここでの一番の大きな収穫は、以前より背中が動かせるようになったことでした。長年の痛みやこわばりで、特に上半身の背中全体がいつも硬直した感じで違和感があり、思うように動かせませんでした。それが、自律神経を意識した運動を毎日取り入れていくうちに、以前よりもずっと動かせるようになりました。

その結果、これをし始めてからは痛みの感覚と間隔、こわばりやその他全身の状態もまた一歩改善していきました。この時期にはもう随分と痛みやこわばりに悩まされない日が多くなっていたように思います。だからこそ、なおのこと、もっと「動ける」自分になりたい欲というか願望のようなものを強く持つようになっていた気がします。ただ、何を基準として「動ける」とするかは人それぞれだと思いますが、やはり買い物に行った時など、買い物かごに色々商品を入れて動いている(歩いている)人達を見たりした時などは、ああ自分もあんな風にできるようになりたいなど何となく「動ける」目標のようなものを持っていた気がします。それからもちろん調子の良い時も悪い時もありましたが、以前よりずっと「動ける」自分を発見した時は嬉しく思ったものです。

線維筋痛症に何が良いか、それはやってみないと分からないというのが私の正直な気持ちです。ある日はこれが効いて、ある日は効かない、そんな日もざらです。何の気なしにやってみたら効いたということもしばしばです。それでも一歩ずつ痛みなく何とか「動ける」自分をもう一度作り上げることができたことは本当に嬉しく思います。実は、数か月前に受けた自律神経の状態を見る検査は大変良い結果で、それもこうした小さな積み重ねのおかげなのかと思うと、何一つ無駄なことはなかった気がして報われた思いでした。今でも、長年痛みやこわばりが続いたことによる「後遺症?」なのでしょうか、体中に不具合があって以前と同様に動けるとは到底言えません。それでも時間をかけて色々続けていくことでもっと改善されると信じています。


【参考文献】
1) Adler, G. K., & Geenen, R. (2005). Hypothalamic–pituitary–adrenal and autonomic nervous system functioning in fibromyalgia. Rheumatic Disease Clinics31(1), 187-202.
2) Martínez-Lavín, M., & Hermosillo, A. G. (2000, February). Autonomic nervous system dysfunction may explain the multisystem features of fibromyalgia. In Seminars in arthritis and rheumatism (Vol. 29, No. 4, pp. 197-199). WB Saunders.
3) Martínez-Martínez, L. A., Mora, T., Vargas, A., Fuentes-Iniestra, M., & Martínez-Lavín, M. (2014). Sympathetic nervous system dysfunction in fibromyalgia, chronic fatigue syndrome, irritable bowel syndrome, and interstitial cystitis: a review of case-control studies. JCR: Journal of Clinical Rheumatology20(3), 146-150.

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