線維筋痛症に対するセルフケアでの温熱療法については、ホットタオルや足湯、蒸気吸入など様々な方法をご紹介しましたが、他にもう一つ温圧療器があります。それは何?と思われる方もいらっしゃるかと思います。実際、私もそういう器具の存在さえ全く知らず、マッサージを受けている所でご紹介いただいてごく最近使い始めたばかりです。
私が使用しているのは、大阪理学医療器/辰巳製作所の電子温圧療器です(2024年6月現在当該商品は販売終了)。器具の先から温熱が出てきて、そこをツボや患部等に当てて温めるというものですが、これが本当によく効きます。痛みでもこわばりでも、これでじっくり温めると血流の改善もあるのか随分楽になります。
これがホットタオルなどの温熱療法と違うところは、体の芯部から温まる感覚があることです。例えば、以前紹介した「クロッツやわらか湯たんぽ足用ショートタイプ」も全身温まりますが、ブーツを脱いでもその温かさが何時間も持続するというわけではありませんでした。しかしながら、この温圧療器で温めると、本当に長時間体の深部から温かい感じがします。就寝前に背中を温めて寝ると、深い眠りにつけます。ある日、背中を中心に多少のこわばりが出た時があったのですが、これで背中全体をじっくり温めて眠ると、次の日には改善しました。効果の程は個人差があると思いますが、私個人的には一家に一台あっても良いのではと思うぐらいのお気に入りです。
また、どんな日でも毎日欠かさないのが、これでお腹を温めることです。私は、総体的に線維筋痛症の症状が酷かった頃はしばしば謎の内臓痛に悩まされていました1)。腹部もその一つでしたが、他の部位の痛みが激しかったので、長年腹部痛については何となく素通りしてきました。それが、最近受けているマッサージでお腹(内臓)の冷えを指摘され、毎晩必ずお腹を温めることにしました。そこでまず気づいたのが、腹部が異様に硬いということです。この器具が全くお腹に入り込まないぐらいカチカチに硬い箇所もありました。実は、もう長いこと内臓痛だけでなく得も言われぬ腹部の強いこわばり感などもあり何かおかしいとは思っていました。それでも他の痛みやこわばりに比べればという感じで、そのままにしてきましたが、ここにきてようやく絶対何かおかしいと確信しました。それで毎晩の日課として必ずお腹を温めているのですが、徐々にお腹の硬さが取れ、あの得も言われぬ不快感等も消えていくと同時に、お腹の調子自体も改善されました。
お腹の調子と言えば、線維筋痛症患者の過敏性腸症候群についてはしばしば耳にするかと思います2)3)。私自身は一度も自分の腹部の具合について医師に言及しことがなく、そのような診断を受けたことはありません。ただ、やはり痛みやこわばりが腹部にもあったということは、何かしらお腹の調子に色々と悪影響を及ぼしていたと思います。それが、簡単なセルフケアながらも、この温熱療法で改善が見られることは嬉しく思います。まだこの器具を使い始めて日が浅いのですが、腹部の状態の改善だけでなく胃の調子、特に消化力も改善してきていますので、もうしばらく続けてどんな結果になるのか様子を見るつもりです。
私の場合、基本的に症状改善の一つとして自分に合っているのは、この温熱療法です。寒冷療法が合う方も少なからずいらっしゃるようですが、私はどんな症状であれとにかく温めることを大事にしています。一番痛みが酷かった頃にこの温圧療器を使用したら、またどんな結果になっていたの分かりませんが、温熱療法が体質に合う方には、こうした器具の助けを借りることもよいかもしれません。
【参考】
1) 内臓痛は線維筋痛症症状のトリガーとなる – 慢性の痛み情報センター (itami-net.or.jp)
2) 線維筋痛症 – 06. 筋骨格系疾患と結合組織疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)
3) 「線維筋痛症診療ガイドライン2017」一般社団法人日本線維筋痛症学会 FM 診療 GL 作成委員会