線維筋痛症と温熱療法①

線維筋痛症における症状緩和の方法の一つに「温熱療法」が挙げられています1)。温熱療法と一言で言っても、理学療法の一つとして行われるものから入浴等に至るまでその方法は様々です。医療現場で行われる温熱療法には「ホットパック」「マイクロ波」「赤外線」「超短波」などがありますし、蒸しタオルや入浴などのように自宅で行うセルフケアもあります2)3)4)。実際、インターネット上で行われた線維筋痛症患者に対するアンケートによると、74%の患者が温水やホットパックなどの温熱治療症状緩和の手段として用いているそうです5)。このことから、多くの患者さんが温熱療法を症状緩和に用いていることがわかります。

私も実際、今までの症状改善の紆余曲折の中、どんな時でも痛みの部分を温めることで一時的にでも症状が緩和される経験を何度もしてきました。いくつかの温熱療法の中でも、適切な機関で受けたものだと表在温熱療法のホットパック系のもの、深部温熱療法の極超短波(マイクロ波)を当てて関節や筋肉の深部を温めるタイプのものなどを受けました。どのタイプであっても温めるという行為はどれも私には効果があり、痛みが酷かった頃は割とよくやっていました。残念ながら、私の場合、温熱療法が長期的かつ持続的に痛みやこわばり等の緩和に効果的という感じではありませんでしたが、一時的あるいは短期的な症状緩和には非常に役に立ちました。

私は同時に、自宅でも症状改善のため日常的に温めることは大事にしていました。特に痛みやこわばりをはじめとする多くの症状に悩まされていた時期は、蒸しタオルを毎日のように痛みの部位に当てていました。2~3枚濡らしたタオルをレンジで温め患部にのせるだけというお手軽なものですが、これには本当に助けられました。症状があるからといってすぐに理学療法を受けられるというわけではありませんし、痛みは毎日ですから、自宅ですぐ簡単にできるものとして蒸しタオルは随分長く続けてきました。最近では症状改善も進み、この方法に頼ることはなくなりましたが、症状が酷かった時から今も続けているのはエプソムソルトを使った入浴です。エプソムソルトの存在について知ったのは、随分後になってからのことですが、これを使うと体が随分楽になるのを感じます。この入浴は今でも日々欠かせない大事なセルフケアの一つです。

①蒸しタオル…水で濡らしたタオルを軽く絞り電子レンジ500Wで約1分加熱すると蒸しタオルの完成です。タオルのままだとすぐに冷めてしまうので、ジップロックなどに入れて熱が逃げないようにしてください。火傷の危険性があるためタオルで巻いて患部に当てることをおすすめします。使用する時間は15~20分程度が目安です。

②入浴…入浴すると全身の血行が良くなるため、全身のコリの改善や疲労回復につながり、リラックス効果もあります。ぬるめのお湯(38~40℃)でみぞおちくらいまでの深さにしましょう。深く浸かってしまうと水圧の作用により心臓への負担が大きくなってしまいます。

以下のような方はお気をつけください
痛みの強い急性期、悪性腫瘍、血圧異常、心疾患、皮膚疾患部位、重篤な循環器の障害、妊娠中、感覚障害、出血傾向のある部位

いずれにせよ、温熱療法に限らず今でも体を冷やさないようにすることだけは気を付けています。「冷えは万病の元」と言いますし、特に女性の方は気を付けている方も多いかと思いますが、万病はさておいても、私の線維筋痛症の症状は寒い季節に悪化しがちで、夏より冬の自己管理を難しく感じていました。そこで、発症以前には左程気にしていなかった服装も気を付けるようになりました。冬はもちろん、夏でもアンダーパンツを欠かさず常に体が冷えないようにしています。私は触れる物に対して酷く過敏で着用するものには随分苦労しましたが、今はオーガニックコットンを年中使っています。特にprisitineのアンダーウェアは年中愛用しています。これにはヒートテックのような機能はありませんが、薄くて暖かいので助かっています。ただ、こちらはお高めのお値段なので、過敏さが少し落ち着いている時は無印良品のオーガニックコットンも愛用しています。些細なことですが、服装にも気をつけることは症状改善の一つとして大事なことだと感じています。

他にも優れモノだったのが、「CLO’Z やわらか 湯たんぽ 足用」です。これを見つける以前は、足元用カーペットを敷いたり、肩にのせる温めパットを使ったり色々やってみたのですが、全身は温まらず私にはどれも左程の効果はありませんでした。それがある日偶然、ブーツにお湯を入れて湯たんぽのように使えるブーツがあることを知り、ちょっとお値段が高いなと思いつつも思い切って購入しました。結果、買って正解でした。とにかく全身がポカポカして、冬の寒さで痛みやこわばりが悪化しがちだったのが随分このブーツに助けられてきました。実は、今この記事を書きながらもこのブーツを履いています。

あったかブーツは寒い時期だけですが、どんな時も基本的に欠かさないのは足湯です。お湯の温度は〇度で△までの高さお湯をはって〇分したほうが良いなどネット上でよく見かけますが、私はそこはあまり気にせず、自分が気持ちいいと感じる程度でやっています。毎日のことですから、あまり真面目に考えると続きません。気軽かつ負担を感じない程度で長続きするようやっています。毎晩就寝前に1ℓ、44度程度のお湯を洗面器にはって全身がポカポカしてきたら終わりです。体調によって、夏は60度、冬は80度ぐらいのお湯を足し湯することもあります。その後、おやすみ用靴下を履いてベッドに入ります。結構夢見心地な状態で眠りにつくことができます。最近は冬になると湯たんぽを愛用しているので、靴下はベッドに入る時は脱ぎますが、とにかく基本的に汗をかかない程度の暖かさを保つようにしています。

線維筋痛症の症状緩和と温めるということに関しては、他にも温泉療法(Dönmez, et al., 2005; Kamioka, et al., 2020)や和温療法(Matsushita, et al.,2008)といったものも示されています。私は温熱療法しか行ったことはありませんが、主治医と相談しながら色々試して自分に合うものを見つけてみるのもよいかもしれません。


【参考】
1)線維筋痛症診療ガイドライン2017 170117_1.pdf (jsfcp.jp)
2)温熱療法とは‥ (terashimaseikei.com)
3) 線維筋痛症|痛みの疾患ナビ|痛みの情報サイト – 疼痛.jp (toutsu.jp)
4)線維筋痛症の症状や治療―痛みが続いたら何科へ行く? | メディカルノート (medicalnote.jp)
5)線維筋痛症診療ガイドライン2017, p54-55. 170117_1.pdf (jsfcp.jp))
Dönmez, A., Karagülle, M. Z., Tercan, N., Dinler, M., İşsever, H., Karagülle, M., & Turan, M. (2005). SPA therapy in fibromyalgia: a randomised controlled clinic study. Rheumatology international26, 168-17.
Kamioka, H., Nobuoka, S., & Iiyama, J. (2020). Overview of systematic reviews with meta-analysis based on randomized controlled trials of balneotherapy and spa therapy from 2000 to 2019. International Journal of General Medicine, 429-442.
Matsushita, K., Masuda, A., & Tei, C. (2008). Efficacy of Waon therapy for fibromyalgia. Internal medicine47(16), 1473-1476.


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