―診断が下るまで―
それはある日、突然来ました。朝起きると特に右の背中、肩甲骨付近が激痛で動かせません。いつも通り朝食の紅茶を飲もうとティーカップを持とうとするのですが、激痛でティーカップを口元に運ぶことすらできません。
もちろんその頃は線維筋痛症などという言葉を知る由もなく、寝違えたと思い、痛みの部分を安静にしておけば大丈夫だろうというぐらいにしか思いませんでした。とは言え、痛みは数日続き消える気配がないので、とりあえず整形外科へ。 レントゲン等を取ってみても特にダメージもなく問題は見当たりませんでした。 元々他の疾患もあり、医師はそれからきたんでしょうと。 結局、何も特段の原因はわからず痛みの付近をできるだけ無理に動かさないようにしていたらいつの間にか痛みは消え、まあ激しく寝違えたんだろうぐらいに思い、そのことはすっかり忘れ去っていつもの日常を送っていました。
それから数年、色々新しい挑戦など仕事の楽しさもあり、忙しい日々を送っていました。 そんな日々の中、冬のある日、突然背中に矢が刺さったような痛みに襲われました。 この時の痛みは、あのティーカップが持てないというレベルのものではなく、服を普通に着ることさえできない程の痛みでした。 原因はわからず、コートなどはハンガーにかけたままドアの敷居部分にかけて直接手を入れて何とか着るという感じで仕事に行っていました。 痛みは尋常ではなかったものの、とにかく仕事には行きました。一人暮らしで何かあってもとにかく自分でやるしかありませんので、あまり深くは考えず痛みのうほうはとりあえず我慢で日常を送っていました。
ところが、この時の尋常ならざる痛みはいつまでたっても消えず、さすがにおかしいと思い、他の疾患の主治医に相談しました。 すると、詳しい痛みの状態などを聞いた先生は「線維筋痛症」を疑い、専門の医師を受診するよう紹介状を書いてくださいました。 それから数か月後の仕事が一段落したある日、その先生の診察を受けに病院へ行きました。 この時から私の線維筋痛症の症状改善の道のりが始まりました。 この時は仕事をセーブするよう促されました。 実はこの時、線維筋痛症について特段何も知らされることがなかったということもあり、正直今後来る可能性のある症状のことなど何も知らず考えもしませんでした。 結局、この病気の詳細は何も知らず、痛みがひくまで何となく仕事をセーブするぐらいの感じで日々は過ぎていきました。 元々悩まない性格というのもあったと思いますが、今思えば、その時はようやく病名がわかり、安心したというのもあったのかもしれません。 しかしながら、結果的にはこのお気楽さと線維筋痛症について無知だったことが後々災いします。
この頃、痛みは弱くなったり強くなったりの繰り返しでした。 それでも、僅かではあるものの線維筋痛症について調べてウォーキングやヨガなどの運動を取り入れてみたり、リンパマッサージに行ってみたり、一応色々と改善のための努力は日々続けていました。既にこの頃から痛みで動けないことも多々ありましたが、一人暮らしで自分で全てするしかなく、とにかく這ってでも自分で何とかこなしていました。 それでも、しばらくすると、以前の激痛も少し和らぎ、僅かですが改善したような気がするぐらいの感じにはなっていました。