発症から回復に至るまでの経緯③

―日常的痛みからの解放―

私の通った気功教室はコロナ禍ということもあり、受講者が私だけということが大半でした。この頃は再びかなり悪い状態も繰り返していたので、他の受講者の方に合わせる必要がない環境があったことは本当に運が良かったと思います。毎回教室では先生が私の状態や体調に合わせる形で無理のない動きを取り入れてくださいました。おかげで、3か月もすると以前よりずっと体を動かせる日が再び増え、随分楽になっていきました。その間も良くなったり悪くなったりはありましたが、教室に行くと必ず良い状態になって帰れるので毎回教室を楽しみにするようになりました。ただ、都合で教室に行けない週があるとあっという間に元に戻るという状態ではあったので、教室に行かなくても自分でコントロールできるように色々学んだことを家でも毎日実践するという日々でした。いずれにしても、気功はヨガと同じく呼吸も大事にしますので、痛みやこわばりで深い呼吸を無意識にでもしなくなっていた私には、誰かと一緒に深い呼吸をしながら体を動かそうとするという点はすごく良かったと思います。

この教室に通いながら一番印象的だったのは、この部分が痛いとか問題があるといっても、必ずしもその箇所に焦点を当てるわけではないということでした。そこで色々学ばせていただくうちに、問題の箇所だけを見ようとするのではなく体全体を整えようとすることで調子を取り戻していこうとしているのだ、そんな感覚を覚えました。今までそんな風に物事を考えていなかった私にとってそれは結構ハッとさせられることでした。結果的に、そのことがこれまでの自分の様々なことを見直すきっかけとなりました。

見直すと言っても大そうなことをしたわけではありませんが、何事においてもバランスは整っているかという視点から考えるようになりました。心身のバランス、予定、食事内容、人との関係性、仕事との向き合い方、プライベート、感情、何においても自分にとってバランスが良いのかどうかで判断するようになったのです。これは本当に自分の人生において画期的なことでした。

それまでは、どちらかと言えば何も考えずに猪突猛進という感じで、バランスということを意識したことはありませんでした。そういう意味では「過ぎる」ことも多かったように思いますし、自身のこれまでの心や体への向き合い方が間違っていたのではないかとさえ感じます。いくら好きでも仕事も過ぎれば体調を崩しますし、楽しい予定や喜怒哀楽といった感情さえ過ぎれば必ずしも良いことではないと思えるようになり、自分のこれまでの物事に対する向き合い方について捉え直しました。そうすると自然と穏やかな気持ちでいられる時間が増え、繊維筋痛症の症状に対する向き合い方や見方も少しずつ変わっていきました。 特に痛みについては、それがあると頭は無意識にそれに集中してしまい他のことが考えられなくなることがしばしばでしたが、そうではなく、痛みがあるということは知らず知らずのうちに何かどこかでバランスを崩すようなことをしたのではないかと考えるようになりました。そうすると、意外とその時はやりすぎたと思っていなくとも、後で振り返ればあそこはもっと控えるべきだったと思い当たることがありました。

この時期に食事内容についても以前よりずっと気を配るようになりました。教室に通うちょうど以前には口内炎や関節痛等、他の症状も酷くなっていたのですが、考え方の変化で少し心の余裕が生まれたのか、繊維筋痛症の症状と食事についても調べるようになり、食事内容にも自分なりのバランスと工夫を取り入れるようになり、そうした症状も一層改善されていきました。私の場合は、主にグルテンフリー、乳製品やカフェインの除去などが中心ですが、私には効果的でした。

結局教室に通えたのは都合で1年半程でしたが、私にとっては貴重な時間でした。細かく言えばきりがないほどですが、症状の改善を目指しながら、私自身にとって一番良いバランスとは何かを考えちょうどよい生き方を心がけることを心身共に学び、考え方も同時に変わったことで多くのことに変化が現れ、痛みのない生活が送れるようになりました。もちろん運動は何より大事ですし、今も欠かせませんが、そうしたことも自分の体調を鑑みながらその日どのような運動をするのが一番良いのかまで判断できるようになり、たとえ症状が垣間見えるようなことがあっても1日程で戻せるようになっています。

これまで自分が辿った道は、ひたすらに我慢の日々でしたが、症状改善のためと様々に試してきたマッサージ、ヨガやピラティス、太極拳、整体、ウォーキングに気功等々、そして試行錯誤ながらも食事内容も変えたこと、どれ一つとっても何一つ無駄なことはなかったと感じています。だた、同時に思うことは、どんな症状の時にどんな段階で何をすればよいのか、どうすればよいのかを知っていればもっと早くに症状が改善されていたのではないかということです。何一つ後悔することはありませんが、これまでの私の改善への試みとして行った様々な紆余曲折の経験が少しでも多くの同じ病に苦しむ人々の一助となることがあれば、今はそのように思っています。そして、日常の痛みから解放されたとはいえ、様々な随伴症状を鑑みれば私の改善への道のりはまだ道半ばです。これからも色々やるべきことはあります。改善のための新しい試みがあれば、今後その都度載せていきたいと思います。


【参考文献】
厚生労働省eJIM | 線維筋痛症 | 各種疾患 | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト (ncgg.go.jp)

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